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画家: aerith  (この画家のギャラリーを閲覧)
閲覧回数: 758
投稿日: 2009/11/14 [Sat]
縦横サイズ: 500 x 715
詳細: 時は斉明天皇の御代。
百済の要請に朝廷は朝鮮へ出兵。
月夜の船団。潮を待つ。


*熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな


さあ、すべては整った
今こそ漕ぎ出でよ


斉明天皇(中大兄、大海人の母)になりかわりに詠んだとされる歌。
額田王。出自は不明。


大海人皇子(後の天武)にめされ十市皇女を生む。
のち、中大兄皇子(後の天智、天武の兄)にめされる。


日本史上、最大の三角関係とも言われる。


二人の兄弟天皇に召されたとされるが、彼女の名前は歴史の中で妃として記されていない。
では彼女はなんなのだろうか。


*茜さす紫野ゆき標野ゆき
    野守は見ずや君が袖ふる


*紫の にほへる妹を 憎くあらば
      人妻ゆゑに 我恋ひめやも


額田王、大海人皇子の相聞歌。
蒲生野の「遊猟」の宴席で披露されたととるのが通説らしい。
すでに宮廷歌人として名を馳せる額田は座を盛り上げるためにこのくらいの歌を謳うことなど容易い。


額田の詠む「君」とは…
額田は自分の立場は充分心得ている。
天智の召人である自分が他の男と求愛行為をしている…
天皇の女に堂々と愛の表現する男がいる…
なんとセンセーショナルな歌なのであろうか。
その効果は本人が一番知っているはずだ。


列席者は心躍らせたことだろう。
席はざわつく。
真骨頂。
人々の心を翻弄し楽しませる優れた手法を宮廷歌人として存分に発揮しているのは周知。
「秋山われは」の歌はそれの最たるもの。


今日の蒲生野での薬狩りの野を想定し額田が創作した歌なのか、それとも本当にそんな場面があったのか…
それはわからない。


「『袖を振る』君とはだれなのだろうか」という宴席の人々の期待。
すでに天智天皇の御代。


天皇の思い人に「袖を振る」という魂のふれあい、つまり求愛行為を「標野」という「天皇の御領地」(暗に天皇をさす)でできる大胆な男とは…


大海人はそれに対をなす歌を詠み上げる。
「大海人皇子さまだったのか…」
一瞬、座は凍りつく。
なぜなら、その頃から後継者についていろいろ囁かれていたからだ。


蒲生野で額田と大海人が本当に出会ったのか、はすでに問題ではない。
額田が詠んだ歌に応えたのが大海人である、ということが一番の注目なのである。


座興なのか…それとも余興を装って大海人は天智へ不敵な挑戦をたたきつけたのだろうか。
天智も大和三山をなぞらえ「妻あらそい」の歌を詠んでいる。
だが色恋沙汰というには3人ともすでに若くはない。
では…?
わたしは恋の戯れ言を詠みながら少なくとも大海人には何かしらの本心、裏の心があったに違いないと推測する。
だが、彼らの本心は今となってはわからない。壬申の乱まであと数年。


天智はなぜゆえ弟の思い人を欲しがったのか。
美しいという理由だけではないであろう。
いずれこの弟皇子は大きな存在になるであろう。
周りは次の天皇は大海人だと思っている。
天智の息子はまだ幼い…


弟皇子に見せておかねばならない。
自分の強大な権力を。子をなした二人の仲さえ自分は割くことができる、と。
おまえが愛した女性をいとも簡単に手に入れることができる、と。
弟にも周りにも。


そしてそこまでしてその女性を欲しい理由。
それは額田が
「天皇になりかわって歌を詠む歌人」であるから。


彼女の歌は兵士を鼓舞し、あるいは魂を鎮め、そして人々を楽しませる。
人の心を歌をもってあやつることのできる存在。


わたしは彼女をシャーマン的存在だとみる。
天皇としてその力は必要不可欠。
大君が神として君臨するためには神の心を詠む巫女が必要なのだ。


だからこそ彼女は誰の妃として記されずとも、二大天皇は彼女を欲したのだと推察するのである。


額田王。
彼女は天皇になりかわり神の声を歌い上げる美しき宮廷歌人。
だからこそ二人の天皇は彼女を愛した。
(これらは私的なわたしの考察です)
キーワード: 「いまはこぎいでな」
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